高齢の猫にみられる病気は?健康に長生きしてもらうためにできること

  • 2023年5月23日
  • 2023年5月25日

いまや猫の世界でも高齢化が進み、平均寿命は15歳を越えました。20年以上生きる猫も珍しくありません。

猫は、人の60歳に相当する11歳程度になったら、シニアとして高齢のケアが必要になります。

この記事では、高齢の猫がかかりやすい病気と、病気に早く気付くために心がけたいこと、健康に過ごしてもらうためのポイントをお伝えします。

高齢の猫がかかりやすい病気は?

高齢の猫には、これらの病気が多くみられるようになります。

  • 腎不全
  • 変形性関節症
  • 甲状腺機能低下症
  • 慢性膵炎
  • 口内炎
  • 腫瘍(乳腺腫瘍、扁平上皮癌)

それぞれ、どのような症状がみられるのか解説していきましょう。

腎不全

高齢の猫にとても多くみられる病気です。多飲多尿、食欲低下、口内炎や嘔吐がみられます。飼い主が異常に気づくころにはかなり進行しているケースが多いです。完治はできないので、食餌療法や点滴治療で症状をコントロールしていきます。

変形性関節症

関節の組織に炎症が起こり、痛みのためにあまり動かなくなったり、足を引きずったりします。治療は抗炎症薬や鎮静薬の内服や体重管理を行い、炎症が収まったら適度な運動をさせます。

甲状腺機能亢進症

甲状腺の腫瘍や過形成などの理由で、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることが原因です。このホルモンは代謝を活性化するので「よく食べるのにやせてくる」というのが典型的な症状です。動きが落ち着かなくなったり、性格が攻撃的になったりすることもあります。治療は内服薬が基本です。

慢性膵炎

感染症や胃腸炎などの炎症が膵臓に広がり、炎症を起こしている状態です。食欲や活力の低下、嘔吐や下痢がみられます。治療は抗炎症薬の内服や点滴、食餌の管理を行います。

口内炎

猫では、ウイルスや細菌などの感染症で口内炎ができることが多いです。強い痛みのせいで、よだれ、口臭、食欲低下などを引き起こします。治療は、内服や歯石の除去といった口腔内のケアがメインとなりますが、状態によっては抜歯を行うこともあります。

乳腺腫瘍

多くは高齢のメスの猫に発生し、悪性の場合がほとんどですが、避妊手術が普及してきてからは減ってきている病気です。

病気に早く気付くため、年に2回の健康診断を。

猫の老化のサインには以下のようなものがあります。

  • 体:被毛のパサつき、白髪、抜け毛、目やに、肥満や痩せなど体重の変化
  • 行動:動きや反応の鈍化、おもらし、寝ている時間が長くなる
  • 心:性格の変化、食べ物の好みの変化、食べ物への興味の低下

これらの症状は、上で述べた病気の症状とも似ており、病気のせいか、老化のせいかを判断するのは難しいかもしれません。

基本的に、動物は自分の体の不調を隠そうとします。そのため、飼い主が猫の異常に気付くころには病気が進行してしまっているケースがとても多いです。

猫が高齢になったら、体に大きな異常を感じなくてもできれば1年に2回程度は動物病院で健康診断を受け、病気の早期発見に努めましょう。

肥満は大敵!高齢の猫と長く健康に過ごすために。

高齢になると活動量や代謝が低下し、人と同じく猫も同じ量を食べても太りやすくなります。肥満は色々な病気の誘因となるので、甘く考えてはいけません。

肥満の猫は、変形性関節症や糖尿病といった様々な病気にかかりやすくなります。関節炎の場合では、太る→動くと痛い→痛いから動かない→また太るといった負のサイクルに陥ってしまいます。また肥満の猫は、万が一手術が必要になった場合、内臓脂肪が多くて術野が見にくくなり、麻酔の危険性も上がります。

肥満は、体だけでなく心にも影響します。体重が増えると自分の思い通りに動けなくなり、それだけでも猫にはストレスが溜まります。性格の変化や高いところに上らなくなったりという変化も、老化のせいだけではなく肥満が原因かもしれません。

対策としては、高齢になったら食事の量や種類の見直しが必要です。適度に運動もさせてください。すでに太っている猫は、動物病院で獣医師に相談して、ダイエットを行いましょう。

さいごに

大切な愛猫にいつまでも元気で長生きしてもらうために、老化のサインを感じたらケアの見直しをしましょう。日頃から猫をよく観察して、ちょっとした変化を見逃さないことが大事です。心配事があれば動物病院を受診してください。動物病院での定期的な健康診断で、病気の早期発見と早期治療を心がけましょう。